思いを巡らせる場所 - フィンランドのアートとカルチャーを巡る旅
フィンランドのアートとカルチャーを楽しむのは、過去の民話の世界と、そのサステイナブルな未来への旅のようなものです。
その根底には、フィンランドで一番大切な文化、やすらぎと静けさがあります。では、どんなアートとカルチャーが楽しめるのでしょうか?フィンランドのアーティストと現代芸術の教授たちに、お気に入りの場所を聞いてみました。
彼らの情報を参考に、最先端の現代アートや都市文化のハブから、特徴的な建築、風景、ラップランドの変わった静寂のフェスティバルまで、最高のフィンランドをお楽しみください。
フィンランドのユニークな場所と隠された魅力に触れるツアーに出かけましょう
写真 : Laura Vanzo, Visit Tampere
カウコネン(KAUKONEN)で開催される静寂のフェスティバル – ラップランド
沈黙が金なら、それはフィンランドでもっとも大切なものでしょう。静かな森で歩くことから、世間話をしなくてはいけないというプレッシャーを感じずにビジネスができることまで、フィンランドは現代生活の雑音から離れることができる国です。
Hiljaisuus Festivaali (「静寂のフェスティバル」)は、そんなフィンランドの文化に欠かせない特徴をお祝いするものです。ラップランドの北極線から120km北上した場所で開催される4日間のフェスティバルでは、やすらぎを感じながら自然とのつながりを体験することができるコンテンポラリーサーカスやクラシック音楽が楽しめます。
静寂という名前のついたフェスティバルですが、黙想を行うリトリートではありません。川辺のカウコネンの村では、ペースを落として、フェスティバルの参加者と知り合いになるのも、大規模なフェスティバルより簡単かもしれません。
2019年の静寂のフェスティバルは、6月5日から8日まで開催されます。
写真:Silence Festival, Jouni Ihalainen


スオメンリンナとヴァッリサーリ島 – ヘルシンキ首都圏地区
フィンランド周辺のバルト海の群島は、世界でもっとも広大なものの一つで、首都圏にも群島があります。街の複数の場所から定期的にフェリーが運航されているヘルシンキは、群島の魅力を探る日帰り旅行に出かける拠点として最高です。
街の中心からすぐの場所にあり、いくつかの島から成る18世紀の要塞の島、ユネスコ世界遺産にも登録されているスオメンリンナは必見です。フェリーで1年中アクセスできるスオメンリンナには、文化的な見どころ、カフェ、レストランに加え、独自のブリュワリーもあります。
スオメンリンナの隣の島、ヴァッリサーリは、夏の間マーケット広場から水上バスで訪れることができます。昔の防護設備に加え、ヴァッリサーリは、1000種類以上の蝶を含めた多様な動植物が生息する場所としても知られています。
2020年の夏には、この島でヘルシンキ初のビエンナーレが開催されます。ヴァッリサーリを背景に、現代アート、建築、デザイン、都市文化がヘルシンキの特色と周囲の群島との関わりにハイライトを当てます。ヘルシンキの決定的瞬間になるイベントは見逃せません!
フィスカルス – 沿岸と群島
ハサミで有名なブランド、フィスカルスは、フィンランドにある村の名前でもあります。アーティスト、デザイナー、その他の職人が集まるフィスカルス村は、フィンランドで一番の国内旅行先と評価され、EDEN賞も受賞しています。ヘルシンキから1時間以内で行け、伝統のある田舎の風景の中で、フィンランドの職人技に触れることができる場所です。
様々な宿泊施設やレストランもあり、食に関するイベントも毎年いくつか開催されています。キャンドルや革製品、陶器、家具などを始め、様々なものが見つかるフィスカルスはショッピングにも最高の場所です。


パリッカラ(PARIKKALA )彫刻公園 – 湖水地方
今は亡きヴェイヨ・ロンッコネンは、約50年の間、様々なテーマを反映したコンクリート像をデザインし作り上げてきました。現在それらの作品のうち560の彫像が、パリッカラ彫刻公園にあります。この公園は、フィンランドとロシアの国境に近いコイツアンラハティの、隠とん生活を好んだアーティストが住んでいた場所にあります。
公園では、ヨガのポーズや動物、植物、エイリアンなどの255以上の彫像に焦点を当てており、それらを約半ヘクタールにも及ぶ素晴らしい庭園で見ることができます。多くの作品が、自分で作り上げた世界の外にめったに出ることのなかったアーティスト自身を少し変装させた自画像のようなものです。
ヘルシンキからヨエンスーに向かう列車が、パリッカラ駅に停車します。
写真:Kimmo Heikkilä
ヒエダンランタ タンペレ – 湖水地方
将来のサステイナブルな都市生活に興味があるなら、ヘルシンキから180km北に位置するタンペレとその実在する実験室のような郊外の街、ヒエダンランタに行ってみましょう。
昔の工業地域にあるヒエダンランタには、オリンピック級のスケートボードホールやフローティングサウナから閉鎖循環式の農業や栄養再循環まで、あらゆるものが集まっています。
住民、ビジネス、組織が協力する革新的なモデルは、ヒエダンランタの進歩的な気風の中心にあるものです。市は、よりサステイナブルな暮らしを基本的な目標において、25,000の住宅を建て、10,000の仕事を創り出す計画をしています。
写真: Laura Vanzo, Visit Tampere


キアスマ現代美術館 ヘルシンキ
ヘルシンキの中心にいれば、特徴のあるキアスマの建物を見逃すことはないでしょう。フィンランドの国会議事堂の向かいにある美術館は、現代アートにおいて北欧を代表するものの一つです。
2019年4月から2020年3月にかけて、キアスマでは、人間、動物、自然との関係に焦点を当てたCoexistence(共生)という特別展が開催されます。この展示会では、現代アートにおいて、自然がどのように描かれているのか、また、人間と他の生物との関係がどのように表現されているのかを探ります。
Coexistence は、キアスマの2019年のテーマである豊かな暮らしの一部をなすものです。
マンッタ・アート・フェスティバル – 湖水地方
1993年以来、マンッタ・アート・フェスティバルは、フィンランドで最高の夏の現代アートフェスティバルの一つです。毎年異なるキュレーターが創り出すフェスティバルでは、いつもフィンランドのアートシーンの新鮮な一面が見られます。
2019年のテーマは、Human Era(人間の時代)です。50以上の作品を通じて、宗教、政治、他の視点を表現しながら、人間が自然や資源に与える影響を探ります。
フェスティバルは、タンペレ駅からバスで簡単にアクセスできるペキロ・エキシビション・センターで開催されます。
マンッタには、セルラッキウス博物館もあります。この博物館のルーツは、フィンランドの林業と小さな製紙産業の街マンッタ、そしてセルラッキウス家の歴史を反映しています。セルラッキウス博物館について詳しくは こちらでお読みください。


ガッレ・カッレラ美術館 エスポー – ヘルシンキ首都圏地区
壮大。フィンランドで一番有名な画家の作品を表現する言葉です。アクセリ・ガッレン=カッレラ(1865-1931年)は、フィンランドのアイデンティティーの中心にある19世紀の神話と民間伝承を収集した作品、カレワラの叙事詩を描き、カンバスに命を吹き込みました。
ガッレン=カッレラはまた、旅人、写真家、工芸品の収集家で、それらの多くもこの美術館に絵画とともに展示されています。ヘルシンキ首都圏地区の一部エスポーの、彼自身が造ったお城のようなタルヴァスパーのアトリエ兼自宅が美術館になっています。
ガッレン・カッレラ美術館は毎日開館していて(若干の例外もあります)、ヘルシンキの中心から車、バスまたは自転車で簡単にアクセスできます。
マイレア邸 ノールマルック – 沿岸と群島
世界的に有名なフィンランド人デザイナーで建築家のアルヴァア・アアルトは、妻のアイノとともに、友人のグリクセン夫妻のためにマイレア邸を設計しました。
1939年に完成した邸宅は、ポリに近いノールマルックの村にあり、時代を感じさせない木、石、ガラス、鉄のコラージュです。マイレア邸はアアルトにとって重要なものです。というのも、その設計に際して、自由に実験的なアプローチをすることが許されたので、当時彼が夢中だった建築のたくさんのテーマが盛り込まれているからです。
この建物の一部は現在でもプライベート使用されているため、見学には予約が必要となります。マイレア邸は2019年に80周年を迎えるため、見学する人の数も増えることが予想されています。予約はお早めに!
ノールマルックは、ヘルシンキから簡単にアクセスできるポリから、バスでわずか20分です。
こちらもお楽しみください
ペースを落として、フィンランドのアーティストの村で時をさかのぼって、興味をそそる意外な過去を探ってみましょう。
もっと読む about 絶対訪れるべきフィンランドのアーティスト村 8フィンランドでは、アーティストによる実験的で独創的なものから商業ギャラリー、主要な美術館まで、様々な現代アートが楽しめます。3000人を超えるプロのビジュアルアーティスト、55以上の美術館、なんともたくさんのアートギャラリーがひしめきあっています。フィンランドには、50人以上の外国人アーティストが住んでいて、世界でもその割合が一番高いと言えます。
もっと読む about フィンランドでオススメのミュージアム10フィンランドを代表するモダニズム建築の建物を訪れて、特別な思い出をつくってみませんか?
もっと読む about 必見のフィンランドのモダニズム建築10選フィンランドにおいてデザインは気持ちに相当するもので、すっかり日常生活の一部になっています。それは不朽の美しさ、サステナビリティ、自然界との調和を大切にする生活様式です。
もっと読む about サステナブルなフィンランドデザイン美しい国立公園からかわいい木造建築の村まで、思いがけず素敵な場所、フィンランドは写真家たちの夢の場所です。スクロールダウンして、フィンランドで最高にインスタ映えする場所10選をチェックしたら、撮影に出かけましょう!
もっと読む about フィンランドで最高にインスタ映えする場所10選